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毎朝五時に目が覚めて窓を開けて歯を磨きながら空を見る。
椅子に座り水出し煎茶を飲みながらトレーニング用の厚着に着替える。
着替えながら今日の身体の調子を感じ取る。
六時のラジオのニュースがタイマーで鳴る。
キャスターが喋りだす前に寸止する。
昔のソニーのラジヲは性能がいい、半年間一秒の狂いもない。
石垣島に住んでいた頃、
男は何でもできなきゃだめだと、俺の横でいつも漁師が空を見ていた。
その漁師に教わった風と雲で一日の天気を感じ取ることを
この田舎でも、ずっとしている。
若い頃は、風を感じられる海の男に憧れたものだ。
「2時に西から強風が吹くまでに洗濯物をいれなきゃだめだろな」
iPodの歩数計を開いて歩きだしながら感じている。
たいがい、そのとおりに風が吹く
もう56歳になると、100メートル歩くとその日の体の部位の調子が全部わかる。
肩甲骨を伸ばしたり、足首を伸ばしたり、腕を回したり、背中を伸ばしたり
そうやって、体の調子を感じながら歩くと30分で汗が吹き出てくる。
これが毎日のルーティーン。
絶対に無理はしない筋トレもしない。
きっちりしていて、ストイックで、
納得するまでやりきりたい性格は分かっているので、
わざと自分で歯止めを効かせている。
自分で自分を調教できるようになってきた。
まぁM系の変態みたいだな。
80%の生き方をしていると、一日の天使が現れるものだ。
毎日同じ景色の畑道を歩き、何も考えずに歩く。
笑顔でおはようございますと、通り過ぎるのはいつも二人。
家に着くと毎日一時間で五キロ。
梅雨の時期は汗だくになる。
すぐにシャワーを浴びたいが、がまんして長靴はいて畑で一仕事。
野菜に話しかけながら朝一番に収穫する。
くたくたになってシャワーを浴びて体脂肪を測り。
冷茶をゆっくり何杯もすする。
今日は美しい初ゴーヤーが採れた。
ありがたい。
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このあいだ、
ディスカウントショップで小ぶりのクラシックギターが飾ってあった。
触ってみたらネックは少し曲がっていた。
店員さんに値段を聞いたら「5,500円です。試奏しますか?」と言ってくれて
「買うからいい」と断って、包まず大根のように持って帰った。
30年ぶりに弾くギターを買った。
中学生からオリジナルのパンクバンドで、
意味もなく、世間への怒りの血を流しながら
メンバーと毎日笑ったり、衝突しながら
バンド練習に明け暮れる熱い青春だった。
グレている暇もないし勉強もしたことがなかった。
バンドというものは宗教で
成長してバンドという宗教に挫折してしまい、
もう二度とギターは弾かないと、全部処分した。
今でも、楽しそうに演奏するおやじバンドやコピーバンドを見ると
殴りたくなる衝動は心のなかにある。
クラシックギターは、なんだかプラチックを弾いてるみたいで
品がありすぎて、響きが楽しめないと思い、
無理に鉄弦を張ってやろうと思って、
大根のようにガットギターを持ち楽器屋へ行った。
弦高も高いので弾きにくいから鉄弦と、
削れる様な、弦の土台のサドルはあるのか?と店員に聞くと
牛骨のサドルが音の響きが違うです。
というのでじゃそれくれと買って、
家で木工用のドリルサンダーでグイ〜ングイ〜ンと削っていたら、
本当に骨が焦げた匂いがして、ぐわっ!と唸り
歯医者で歯を削っている時の焦げた匂いでびっくりした。
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キレイに磨いて愛着が湧いてきた。
これは昔のシナノという長野のクラシックギターやさんの
ギターらしい。
開放弦ばかり弾いていると気持ちがいい。
骨だけに、骨盤に響く様な感じの音がする。
ジョニ・ミッチェルのように俺の聴いたことがない
変態オリジナルコードみたいな
音を探して楽しもうと思っている。
クリス・ワトソンみたいにフィールドレコーディングして
生活音と家具のような4チャンの環境音楽を宅録してみたいなぁ。
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では、天才ジョニ・ミッチェルさんのコヨーテです。