吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

野鳥愛護週間〜山梨死闘篇〜

闘いの日はやってきた。
昨日の夜にカメラのスタンバイを済ませ、
奴が現れて、あたふたしないようにリハーサルも済ませた。
イタリアマフィアは、四の五の語らずこめかみ一発で仕事を済ませる。
それを習い、オレは奴らの早朝馬鹿顔を奇襲作戦一発撮りだ。

なんだか、浮気調査の探偵のような気もするが、
まぁ、細かいことはいいのだ。
まさか、オレがこんな早朝にカメラを構えて死闘覚悟で
獲物を狙う豹の男に化けているとは、
家の者もわからないだろう。
ざまぁみろだ。
と、その瞬間、AM4時22分敵が現れた!
ここは慌てず、冷静にだ。

すると、バタバタバタっと3羽同時に現れた!
やややっ!これは、予想していなかったので、
オレは、「あああっっ!」と慌てて眼鏡がずれてしまい、
おまけに、カメラスタンドも、ズルズルっと傾いてしまった。

やばい!ヤラれるっ!と、思ったが、
そこはオレ、さすが経験値が違う。
スタンドをズルズルっと握りしめてピントを合わせ
「い〜っ!!」となりながらもシャッターを押した。
慌てたせいか、ピントがぶれた。

「ちきしよーっ!3羽はあかんっ!多すぎて動きすぎる!」

すると、縄張り争いで三羽が喧嘩を初めた。
そして、死闘の結果一羽の餌場独占状態になった。

ふっふっふ、、
そこを見逃すオレではない。
一対一だ、ここで負けたら死ぬまでよ。

さささっと、オレは体制を取り直し、瞬時にシャッターを押した。
完全に奴と目が合ったが、完全にオレの勝利だった。
ざまぁみろである。
奴は腰が抜けたような面をしていたな(ガッツポーズ)。

雀はもういい。

こないだの、夫が知らない家事リスト/野々村 友紀子では、
オレは82点の高得点を上げたわけだが、
じつは、子育て部門では0点だった。
これは、女性から見て子を持つ男親としては人間失格だろう。

しかし、オレは昔から子供の面倒を、ほぼ見たことがない。
合計4人の子供がいるが、
4人中、2回くらいしかオムツを変えたことがない。
抱っこひも背中おんぶは一回やったことがある。
よく見る男親の前おんぶ抱っこは、
ありえないのでやったことがないし
女の鞄も持ったことはないし、
酔っ払った以外は女と手をつないだことはない。
理由は、第三者から見て男がダサすぎるからだ。
電車の中で、
前おんぶのようなリュックサック抱きを初めてみたとき
こいつ馬鹿かと思った。
「大丈夫か?おまえ、何を守っているのだ?」
よく見ていると、あれ結構いるのだ。
聞くところによると、
あれは、世の中では電車内のエチケットだそうだ。
「僕は絶対チカンはしていませんから」の
アピールだと思っていた。
外国であんな事していたらアホだと思われるだろう。
日本人の群集心理は変わっている。

子育て失格グループのオレに、
昨日うるさい方が、
「家の中は蒸し暑すぎるから明日、人のいない涼しい場所へ車で連れて行け」
というので、
「連れて行ってやるけれど、交換条件で三人分の弁当を
お前が言い出したんだから朝早く起きて、一人で全部作れ」
と、言ったら燃えてきたようで、
今朝六時に一人で起きて、
エプロンをして必死でおかずを作って
おにぎりも全部自分で作り上げた。
オレのおにぎりには梅干しをきちんと入れてくれた。
うるさいやつだけども、気が利く心の優しい子なのである。
よし行こうと、車に乗って海抜1400メートルの山のダムへ向かった。
外気温が33度から、現場につくと22度に変わっていた。

誰ひとりいない、川沿いを見つけて
オレについて来いと三人で草をかき分け、いい場所を発見した。
金のかからないアウトドアの遊びは、
若い頃から鍛えているので楽勝である。
地べたを造るのに皆で雑草を踏んで、
椅子とテーブルを組み立てて、
うるさい方の仕切りで弁当タイムが始まった。

上手に作っていたので、
「おまえ、朝早く起きてよく頑張ったな!
自然の中で、こうして食えて美味いなぁ美味いなぁ」と
おとなしい方と褒めまくったら、満面の笑顔で嬉しそうだった。
こうして子供はどんどん自信をつけていき、自分で自立の道を学んでいくのだ。
「今度来る時は、草刈り刃と水着とサンダルと蚊取り線香だな」
と、打ち合わせをして、二人は冷たい山の川で遊んでいた。

とにかく、我が家族は、人が多い場所にいるだけで疲れる。
こんな田舎でも、誰もいな場所をいつも探し続けているのだ。

午後を過ぎたので、じゃあ行こうと、
ささっと片付けてゴミを残さず、
「ありがとう」で、ささっと帰る。
帰りに山の肉屋で店の国産馬刺しを仕入れて帰る。
「明日は国産ワイン牛の切り落としがとれると思う」
と、おっしゃるので
「東京の店で出したいから明日また来ますね」
と言って帰る。