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昔からどんなに楽しい酒の席であっても、
必ずオレの三次会がある。
一人でふらりと酔に気をつけながらもまた呑みに行く。
この静かな一人反省会。
何処かいつも愛おしいひとり反省会。
これが自分の素質を築いてきた気がする。
海風の一人客のお客さんも、
昔からそんな感じがする人が多い。
皆、判ってらっしゃって頭がいいのだろう。
昔から言われている居酒屋というものは
雰囲気をお客さんが店を作ってくれる。
というのは全部嘘。
自分を含めお客さんという輩は
自分の好みに合う店を探すだけのこと。
雰囲気が自分に合わないなら行かない。
店の良し悪しではなく、それだけのこと。
一切店に要求しないのが、酔客の本質だと思う。
頭のいいお客さんは常連と言われるのを嫌う。
ただただ、呑みに来ているだけの事。
と、自分で判ってらっしゃる。
酒好きとはそういう人。
若手の頃、生き様が格好のいい上司に
おまえは居酒屋ばかりで飲んでいないで
給料が入ったらひとりで高級ホテルで一杯呑んで
ロビーのソファに座って、ずっと人間観察していろと言われた。
素直にひとりで何回かそういうのをやっていた。
彼女ができたら高級ホテルのラウンジバーに連れて行って
必死で口説いて、この女は違うなと思えば
支払いを済ませて、手は出すな
そういう練習もしとけ。
と、言われた。
若手の頃は、金もないのに必死だったが、
今思えば、大先輩の言うとおりで
いい女を見抜く練習にはなっていた。
岐阜商人の心得みたいなものだったんだろう。
その人は三重県の人間だった。
イカしていた。
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家族と楽しい飲み食いのあと、
いつものようにふらっと一人で街に出て
新しくできた立派なホテルへ行き
お試し地ワイン飲み比べというのに心が動かされた。
チケットを購入して下さいというので、
白ワインをお試ししてみた。
しかし、冷えた大きなワイングラスの割には量があまりにも少ない。
ホテルマンにこんなものなの?
と聞いたら、お試しなので、、と、言われた。
まぁ、しょうがないかと思いながら
数種類の白ワインをパカパカ呑んでいた。
温泉もそうだが、以前山梨の全銘柄の蔵元へ行き、
全部ボトルを一本ずつ買って呑んだので
飲み比べと言われても、
山梨のワインは全部美味いのは分かっっているので
ホテルの雰囲気や客を観察していた。
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あんまり呑むと帰れなくなると思いながら
パカパカ呑んでいた。
そうこうしているうちに、
グラスに映った照明が奇跡のように輝いた。
酒も美味いし、なんだか嬉しくて
全部掴み取るようにシャッターを切った。
若手のアホな頃を思い出しながら、
ひとり静かに56歳。
じつに美しい夜だった
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ザ・リプレイスメンツ「それが始まった時」
The Replacements / When It Began