吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

1ミリの隙間に希望がある

酒呑みはゆったりと腰掛けながら
絶妙な高さでグラスを置ける場所が欲しい

市販の家具の高さは
全て規格が決まっているので
自分で作らねばならない
本来、人の体型によって
ベッドもすべての家具の寸法は変わる
趣味の木工を続けていると
プロの大工さんの気持ちが少しわかる

プロの大工さんの修行時代は
親方に1ミリの違いで叱られてやり直す
2ミリ違うと殴られる
趣味でやっているオレだけでも
1ミリの失敗が分ってきた
切り方が、雑なだけだけれども

やっかいなことに
壁に貼るカレンダーの位置や
ポスターなどの高さやもろもろも
きっちり測って1ミリの違いなく
ピッタリ合った位置に貼らないと
気持ちが悪くなる

昔では考えられなかったが
この数ミリが
ものすごいストレスに感じられる
木工好きの人は作れば人に喜ばれる
いい趣味だけれど
続けているとこうなってしまうのだ

昨日は
家の炬燵の位置が
畳の位置と、少しずれているのが気になった
楽しそうに女子部が女子会しながら話しているし
邪魔になるかと思ったが
耐えられなくなって
あ〜っとなって全員どかして
炬燵の位置を整えた

女子部は、また始まったと爆笑していたが
もう、鬱陶しいと思われてもいい
我慢していると
自分のストレスになるのだ

部屋の中、いろんなリモコンが見えるのが
気持ち悪くて、見えない下に置く
携帯がテーブルの上にあるのも嫌い

自分は、けっして頑固ではないけれど
そういうひとつひとつのことをきちんとして
いつも第三者の視線があるのだと
自覚して生きている人間が好きだ

家族にも、人と会うときや
食事中は、相手に失礼だから
電話に出たりメールを打つときは
席を離れて出なさいと言う
馬鹿に見えるから
テーブルに座りスマホをいきなり
自分の脇に置く馬鹿がいるが
家族には、スマホじゃなくて
目の前の相手の目を見て
会話しなさいと教えている

自分がきちんとしていると
必ず相手も、自分で考えるようになる
子育てとはそういう事
自分ができていないのに
子供に対して
あなたのことを思って言っている
だとか色々言うのはおかしい
残念な家族に生まれた子供は
希望の奇跡を摘まれているようなものだ

人間という生き物は
何度も繰り返し失敗して再生する
最終的には自分が変わらない限り
人間同士の付き合いは
うまくいく訳がないし
些細なことで争い出すようになる
困った生き物だ

娘の机を見たら
今のオレでも考え悩んでいる様な
永遠のテーマが書いてあった

彼女には彼女の哲学があり13歳
随分成長したなぁと
しみじみと思う

明日からテストだそうで
遅くまで勉強していた
今の進学塾は年間百万円位かかるそうだ
うちにはとても無理
それを知っている彼女は
塾には行っていない
塾に行っている子に
勉強は負けたくないと言う

オレは、頑張れとも
勉強に対して何も言わない

なんでも自分が納得するようにやればいい
それでいいじゃないか?
人生は長いし短い
敵はいつも自分の心の中だよ
とあたりまえのことをいつも話している

オレなんぞは全力疾走しすぎて
失敗ばかりでこうなった

頭が下がる思いであるが
周りを見ているばかりで
全力疾走もできない人間にだけは
死んでもなりたくはないな

さぁ
心を落ち着かせる朝食を摂り
今日を真っ直ぐに生きよう