吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

ちいさな小屋のひかり

今年は寒すぎて小屋の薪ストーブが早々と大活躍
燃し木の仕込みもそこそこ忙しい
燃し木の端材は材木屋で軽トラジョニーに満載で
一年分をただで貰ってくるから
エアコン代も灯油代も燃料費がかからない

エコな生活だね、と言われるが
全然エコではないと思っていた
だって、木を燃やしているのだから
自然環境にはよろしくはないと思ってた

科学的にはそうではないそうだ
木は有機物なので燃えて炭になると
炭素が酸素と結合する
それを自然界の次世代の樹木が
光合成に使うそうだ
バイオマスっちゅうあれだ

そう考えたら、たしかにエコだ
けれど、調子に乗るのもよくない
自然に感謝して謙虚にちいさく温まることだな
石炭や石油は無機質だから
むちゃくちゃ自然環境によくないというわけだ

薪ストーブの柔らかい温もりを知ると
もう暖房エアコンは使えない
最近、面倒くさいので
デジタルのBluetoothスピーカーばかりで
音楽を聞いているけど
小屋の中にいると
柔らかなアナログのスピーカーで
聞きたくなってきた

倉庫に大事にしまっていた
スピーカーを取り出してきた

このスピーカーは
オレが生まれる前に日本で作られた
NHKの音響検査用に使われた
放送技術の規格に初めて認められたスピーカーで
三菱電機で作られた
スピーカーマニアに絶賛されているという
16センチのフルレンジスピーカー

音響機器には全然詳しくないし興味もないけれど
現場で聞かせてもらったら腰が抜けそうになるくらい
凄まじい良い音がしたので
その音響博士の集まる場所へ何度も通って
このスピーカーユニットを特別に譲ってもらった

値が高いので交渉して
毎月月賦で購入させてもらった
支払いはいつでもいいと言われたが
オレにとっては男の約束なので
毎月きちんと支払いに通った
オレは信用されて認めてもらい
スピーカーの設計図をもらった

それを縮小して、自分用の設計図を作り
栗の木で作った
栗の木は硬いので音の響きが良いのだ

昨日、小屋の反射音響を考え
配置を計測して設置した
いい雰囲気の音場が出来上がった

小さな真空管アンプで鳴らしているが
小さい音でも温かい音がする
もちろん低音高音の糞調整つまみなんて存在しない
原音の音が
そのまま真っ直ぐ響いている

iPodからのデジタル機器だけれども
アナログに近いやわらかい音がする

Ryan Adamsの新譜が出たので聞いてみた
小屋の壁や天井に響いて
静かに鳴っている
泣きそうになるくらい
すごく良かった

 I’m Sorry And I Love You / Ryan Adams

自分の手で
自分の頭で考えて考えて
知識もなく苦手だろうが造ってみる
失敗しても、しつこくしつこく生きる
すこしうまくいくと飛び跳ねるほど嬉しい
だんだん
やれば何でもできる気になってくる
調子に乗ると頭をぶつける

だけれど
いくら金を払っても
買えない美しいモノがある
と思って
あきらめずに生きていくこと