吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

暗闇を歩き、光の中を歩く

最近は、土鍋フェチで怒鳴らないドナラーになっている
米が美味くて、土鍋の炊き加減も絶妙になってきた
単身赴任ひとり暮らしの男にはわかるだろうが
なんせ、土鍋は吹きこぼれがあるので
ガス代の掃除がいちいち大変だ

吹きこぼれないように
火加減を微妙にしているが
少しは吹きこぼれてしまう
だから、米が美味いのだろうが
手がかかる

絶妙な吹きこぼれのない土鍋を仕入れた
火加減強弱も必要なく、ほったらかして時間がきたら止め
蒸らしておけばいいだけ
一切吹きこぼれなかった

2合炊きなので
炊けたら一合炊きの土鍋に移し
冷めたら冷蔵庫
翌日土鍋ごと電子レンジで温めれば
余分な水分を土鍋が吸い取り
抜群の味となる
これで、毎日土鍋を炊かなくてもいいし
掃除も楽勝で最高のドナラーだ

どうでもいいクリスマスイブなので
単身赴任のオレは、ケーキを買うことにした

どれだけひとり暮らしのクリスマスの寂しさが出るか
職場のイトウと写メで勝負することにした
セブンイレブンには
昔に比べ一人暮らし用のクリスマスケーキが豊富にあった
いかに、日本社会の男女が
結婚の金銭的な生活リスクを放棄しているかが
この陳列の景色で伺えた

どのケーキの絵面に暗さと寂しさが出るのか
選ぶのが難しかった
何故か今日は紹興酒が呑みたくなり
全く合わないだろうが
そういう組み合わせも寂しさが出ると思い
シンプルにショートケーキを購入
中年単身赴任の暗い暗いクリスマスを演出してみたが
どうも、普通に楽しい
一人クリスマスの絵面になってしまった

逆にイトウの写メはここに出せないくらい
度肝を抜かれる様な絵面だった

まるで一人暮らしの女性が
「クリスマスの今日は全部欲しいの!
全部楽しみたいの!全部準備しているの!」
と、思っているような景色だった

ケーキは5号サイズ
台所に動かなくても良いように
お菓子もドリンクも全部用意してあり
結婚しない女の
セレブに憧れる景色を
見事に演出していた

さすが、高知仁淀川の女
奇跡の川と呼ばれる
美しい仁淀川ブルーではなく
仁淀川どどめ色ブラックに
変身していたのだ
とてもじゃないが
オレなんぞは、腰が抜けそうで
その場に居たくない景色であった
夢に出てきそうだ

見事に完敗
恐るべし

皆のクリスマスはどうであろうか?
田舎我が家の女子部のクリスマスは
オレサンタ存在が昨年バレていたそうで
我が家、自立の女子部全員
クリスマスプレゼントは外人がやること
今後一切必要無し
三人で、シンプルに苺デザートを作り
知り合いからシュトーレンが届き
楽しく過ごしていたそうだ

こんな景気が最悪の時期でも
少しでも明日への光を灯そうと
光を求める家族もいれば

夜行列車に乗り
彼はコカイン、彼女はピル
ポケットに詰め込んで
暗黒の旅を目指しながら
寄り添い眠るアベックも居るだろう

いろんな人間が居る
それが人生だ

Walk In The Dark / Ryan Adams