吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

朝の景色

この時期になると
連日朝5時には
果樹園農家の葡萄爆音害虫噴射消毒車の音で目が覚める
とてもじゃないが戦車のような地響きと
殺虫機械音で寝られない
まるで軍事基地の中にいるようだ
害虫はどんな薬剤に対しても
次から次へと変質して強度を増すので
どんどん薬剤が強くなると言う
色んな害虫が変異して現れる
虫自身は害ではなく
子孫を残そうとしているだけ
何処かで聞いたような今がある

もう誰も来れない山の上の上でしか
無農薬で育つ葡萄は育たないと聞く
それでも
人間は次から次へと
モノと飽食の連鎖を繰り返す
やりすぎだよ、人間はやりすぎたのだ
娘が起きてきて
おはようの合図とともに
毎日本を読んでいる
彼女は信じられないくらいの多読家
オレが10頁読む間に
一冊読み終えて消える
信じられないその光景に
オレでさえももう慣れた

早朝、パンを買ってくると妻が言う
茶を飲んで事務仕事をしていると
店が休みで
マックでモーニングを買ってきたという

家族初めての体験

蓋を開けると、全部宇宙食だった
これを?日本人は朝に喰うのか?
びっくりして皆眺めていた
野菜も何も無いので
あきれた娘がレタスを洗い
入れてくれた

体験の感想?
言葉に出す気力もなかった

今日は一日事務仕事
最後のゴールデンウイーク
国道に出ると
沢山の関東ナンバーの車が走っていた
今年は家族と何処にも出かけなかった

ずっと家に居たので
たくさん家族の話を聞いて
夜はドキュメンタリーを見ながら
酒を飲んでいた

今日は、イタリアのラツィオ州の
丘の上の村
石の砦と呼ばれる
ロッカダルチェへ飛んだ

今日は
村で劇団の演出をしている女性
アントニエッタ
劇団の練習以外
彼女の仕事は助産師

生まれた瞬間の子供を
抱きかかえて
出産の女性に一生の思い出を手渡す

わたしの仕事は
命を渡す人なのよ
と、笑う

ストレスや悩んだり
心にぽっかり穴が空いたときには
小さい頃から山の上の岩の上
この場所から景色を見る

彼女は静かに
美しい山々の遠くを見ていた
今夜も安い焼酎が美味かった
一日に感謝ありがたい

さぁ
明日から皆いつもの日々が始まるぜ