吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

チベットと左脳

いよいよ、ベテラン建具屋さん制作の
入口ドア完成搬入

材料は、鰆(さわら)と雲杉(うんすぎ)
無垢材の完全手造りである
ベテラン建具屋さん、恐るべし技量
己の風格を消すような、完全自然体の男の姿だった
経験が全ての人格を表しているようだ

じつに穏やかで淡々と取り付けて
カンナで微調整をするその姿
何も表現しない、何も足さない
まさしくオレの目指している
イカシタ男の景色であった

木肌を触りまくった
1mmの狂いもない
しかも重い
ほぼ、硬い鰆で組み込まれ
真ん中の板が雲杉とおっしゃった
雲杉は、杉とは違う種類だそうだ
中国、チベット産の雲杉である
感無量、、、

大工さんも驚いていた
今どき、檜や杉を使わずに
ほぼ、無垢材で建築するとは、、
一人木工部でやっていると
檜と杉は、色も匂いもキレイだけれど
もう飽きた、、
無垢の溢れる硬さが欲しかった
色んな面で、苦労だけれどやってよかった

ずっと店作りを続けていると
削ること、新しいこと、色んな事を考える
ずっと梅雨と気圧に悩まされているし
何が正しくて何が不必要ということが
だんだんわからなくなってくる
思いを巡らしながら景色を彩ること
最後には、本物の優しさと無償の愛だろうな

店の建築からデザインへ脳裏は移っている
何も大袈裟に彩らないこと
チープなシンプルだけを求めないこと
無垢でズシリと思い
重厚感のあるシンプリズム

居酒屋の色は赤ちょうちんの赤
もう、赤色を排除しようと思う、と
デザイナーに話している
ロゴ案を色々、、悩み中
習字の上手な娘の字体を気に入っている
これでいいと、デザイナーは言う
そうだね、とオレは言う

人間は、信用しない
こんな酒呑みの男だけが心の救い
男は、やっぱりこうでなきゃね
次の日、凹みまくりの姿、、
死んだオレの親父みたいだな、、