吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

Not California

友達はほぼいない
ていうか面倒くさいのでつくらない
基本的に人間嫌いで生きることにしているので
50歳を過ぎてから
友人と言える人はどんどん切り捨てた
連絡先も全て削除
スッキリしたものだ

それでも一人
中学一年からのアホな親友がいる
アホすぎる二人なので仲が良い
彼は、コロナで自宅勤務が増えて
どうせならと、会社に通えない
遠くの海沿いに暮らすことを決めて
もうそこに二年住んでいる

行ってみるかと車を飛ばして会いに行った
相変わらずのアホで
暮らしぶりのセンスは皆無
部屋の中は、男暮らしそのもので
オレにはありえない部屋なのだ
収集グセがあるようで何でもかんでも多い
捨てろと言っても
たくさん無いと落ち着かないという
バカである
ベランダでトマトを植えようと思い
種を蒔いたらすごい数になったので
トマト食い放題だと喜んでいる
ジャングルになって苦情が来るぞ
トマトは2メートルは伸びるぞ
面倒くさいからやめておけ
と、教えてあげても
大丈夫だと言い張る
どうしようもない頑固者

アホすぎるので写真をどんどんアップしてあげた
旅へ行くと必ず魚屋へ行く
オイ行くぞと二人で向かう
真っ赤な新車に乗り込んで
これまたセンスのない
赤い車を買うかね?とぼやいてやった
もう中1からつかみ合いの喧嘩を
何度もしている親友なので
なんでもありなのだし
二人共優しいのだ

居酒屋へ行きベロベロ
夕方からず〜っと笑いっぱなしだった
居酒屋の可愛いお姉ちゃんに
仲いいですね〜と笑顔で言われたので
”俺たちは、ゲイじゃないからね
今流行のジェンダーみたいなのじゃないからね
気持ち悪がらないでね”と言うと
ゲラゲラ笑いながら若干引き気味で
オレたちは終始爆笑の渦であった
酒は楽しく呑むのであ〜る

家に戻り腹が減ったと言うので
買ってきた朝採れの鯵を捌いて生姜で食った
冷蔵庫の肉を見つけたので
生姜焼きも作ってやったら
美味すぎる!プロみたいだなと絶賛しながら
嬉しそうにパクパク喰っていた
アホかおまえはっ!このタコっ!と、どついてやった

窓を開けっ放しで寝た
朝方、波の音で目が覚めて
銚子の海の目の前に住んでいた頃を思い出した
漁師町の古いその家では
寝転ぶと海が見えて
一日中波の音が静かに聞こえる家だった

親友にありがとなと別れ
高速を走りながら思い描いていた
やっぱり海はいいな
誰もいない海の近くに家を探そうかな
と考えながら
ヘムの素晴らく柔らかな唄のアルバムが
恋する波の音のように聞こえて
ず〜っと流していた
やっぱり海が好き