大都会
軽トラ通勤
運転しながら車窓に映る路行く人々
老いも若いも、苦に満ちた顔の無い表情
この国の今
ずっと見ている
営業後、深夜山梨帰宅
韮崎の材木屋に頼んでいたケヤキの板を取りに行く
途中、米畑の稲穂が黄金色に輝いていた
車を止めて、稲穂の波をじっとみていた
苦に満ちた表情と稲穂の輝きに
見事なダイナミクスを感じながら
美しい空気を吸って向かう
寸法通りに鉋もかけてくれていた
分厚いケヤキの板
店の移転祝いだ、金はいらない
社長が、言ってくれた
この社長
男の品の姿勢ができている
気持ちはありがたいが
手間は手間だと
削り代だけ払って帰る
家のケヤキのテーブルを
圧倒的なテーブルに仕上げるために
継ぎ足そうと考えていた
しかし、重い
テーブル脚が比重に耐えられないので
座卓に変えた
3枚継いだら凄かった
良いですね、と自分に問う
座卓の脚を見て思う
しがみつく様に生きる日々も
小さな景色の中で
生きるのも好きじゃない
何事も、比重には耐えられないものだ
群れず、拾わず、捨ててしまいなさい
リスクを重しに背負いながら
たった一人で我道を征きなさい、、
その方が利口だよ
と、賢者が云う様だ
どうも、納得がいかないので
少し削ろうと思う
コツンと木にあたるグラスの音を聞き
しんみりとグラスビールを呑む
至福の時間
旅のことや、店のことや、生きる道
圧倒的な幸せの日々
幼稚でくだらない国の中
どう参加せずに生き残るのか?
そればかり想っている
稲穂の波を想いながら
焼酎を二杯だけ呑んで眠る
また明日だ
死んだように日々を生きるよりは
阿呆でいたい