吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

まだ汗は流れているぞ

朝、土鍋で180gの米を測り
冷水で飯を炊く
夢の様な男の朝飯を作る
BS小さな村の物語を見ながら
いつも食事をする
この時間が、幸福

腰が痛むので
念のために痛み止めの薬を一粒飲む
ゆるゆると動き出し
らっきょうの本漬け
喜界島の黒糖ザラメを使う
濃厚な色合いが出るだろう

近所の世話になっている
酒呑み仲間が山菜を持ってきてくれた
アク抜きまでしてくれていた
ありがたいのだ
店に全部持って行こう
山の自然の山菜だ

イタリアの小さな村
どうしてこんなに
幸せそうな表情で暮らせるのだろう
いつも思う
食事も質素で暮らしに無理がない

三食自炊で、ほぼ自給自足
みんな家畜の世話をしてチーズを作り
世代が良い感じで繋がっている
日本の様な、、
互いに気を使う二世帯住宅みたいな景色は皆無
遺言?遺産相続?
そんな雰囲気は微塵も見られない
なんとか誰かが
好きにするだろ?
この日々があれば、何もいらない
てなもんだ

ゆるやかに、それぞれの時間が過ぎて
それぞれの表情がいい
なんともいえない優しさを感じる

イタリアの昔の音楽が、また素晴らしく
景色に静かに音があっている
今日は、昔のイタリア音楽を一日流していた

今年亡くなった坂本龍一
余命宣告された闘病中
同じく闘病中の高橋幸宏に自己発信で会いに行った
その日から高橋幸宏は入院
会えなかったが、彼は手紙を書いていた
“生き直そう”と一言

二人とも亡くなったけれども
”生き直そう”という言葉が
深く心に残っている
生き直さなくちゃなと
少しの希望を感じている

草を刈りに峡南へ行った
伐採の木々が溢れている
雨の前にレシプロソーで切り刻む
冬には薪になる
滝の様に汗が流れる
そのままにしておくと
また、蛇が住処にするから怖い

この広い土地で本気で小屋を作り
ニワトリとヤギを飼うつもりでいた
草を刈らなくて済むし
ニワトリは食えるし、ヤギのチーズもできる
けれども、考えてみた
あっ、オレひとりだ
死んだらニワトリもヤギも
えらいこっちゃである
犬も飼えない
そうか、そうなのだな
まぁ、しょうがない
生き直そうの道だ
選んだのだから
生き直しを楽しもう

身体と付き合いながら
すべてを諦めることはない
イタリアの景色