
出来損ないの自分には出来すぎる妹がいる
ずっと大阪に住んでおり先日連絡があった
母親の介護施設が変わったらしく
数年ぶりに会いに行くことにした
車で五時間休憩2回で着いた
妹は、法律を学んでいたので
親族やらのややこしい問題やらを
全て任せている
オレは、
すべての人間関係の関係性を切っているので
冠婚葬祭や親族とも一切関わらない
50歳児の時にそう決めた
産まれた時からややこしい人生
長崎県で生まれ、母親に捨てられ
下関の親類宅のお金持ちの愛のある家で育てられ
そして、大阪の育ての母親に連れられて
18歳まで大阪で育った
大阪という土地柄には
何にしても笑いがある
イタリアのようだ
土地柄かもしれないが
犯罪も犯さず、不良にもならずに
大人の狡さを観察しながら
歪みながらも生きてこれたのは
大阪の母親の愛情と笑いのおかげだ
母は、昭和七年生まれの93歳
行くと、嬉しそうに歩いてきて
変わらぬ笑顔であり、呆けもせずに
相変わらず話しまくりの大阪人で
オレは、二人の相変わらずのボケとツッコミの
話を聞くだけで
女は、元気だなぁと感心した
妹は、とにかく早口で言葉を捲し立てる
頭のいい人は話が速いというが
オレの、ぼ〜っと話すリズムなどは
捨て去られて会話が進んでいく
妹は、じ〜っとオレを観察しながら
にいちゃん!61歳で禿げてないなっ?
というので、
いやいや禿げまくりだよというと
にいちゃん今の61歳なんてもうボロボロだよ
と、相変わらずキツイことを言う
オレは61歳児の情けない男だと
いつも思っているし
早く80歳児になって
110歳児への憧れを持ち続けたいから
若くとかそういう気持ちが全くないので
格好も生き方も常識も何も気にしていないよ
と、言うと相変わらずだなと
法律家の目線でオレをじっと見ていた
母にとっては、
今でもオレは小さい頃のままで
会いに来てくれて嬉しいなぁと
何度も言ってくれて
迷惑かけたねぇ、、
身体だけは気をつけてな、と
逆に励まされた
妹は、ほなら元気でな〜っと
兄を捨て去るように
颯爽と帰っていった
あぁ、、
情けない息子だなぁと思い
とぼとぼと帰ったわけだが
思い出して、小さい頃から好きだった
あの駅前のうどん屋へ行くことにした
大好きな、きざみうどん
おにぎりとセットで400円
おばちゃんたちは
まっとうな商売を今でもしていた
昭和に帰った気分だった

おのれの魂を
叩き直すために
千里のバッティングセンターへ行く
3球だけ真芯に当てたら
また鬱がやってきて
少しだけ意味もなく
魂が淋しくなってきて涙が出てきたので
打つのをやめてホテルへ向かう
この男は、どうしようもないな、、
と想いながら大阪の景色を眺める
