Ome Blue
始発電車の到着の音で目が覚める
小窓からぼーっと
暗がりの中
少ない乗車の人の景色を眺めてしまう
また、きっちり病が始まった
時間通りに出発するのか気になる
朝4時35分ぴったり
始発電車の出発だ
安心して小便に行き、また眠る
時刻表をコピーした
電車が到着すると
いちいち時刻表を見てしまう
出発が正確すぎるので
たまには事故とかではなくて
一分位ズレてほしい
オレだけ遅れを見ているからなと
ニヤッとしたい自分がいるのだ
頭がおかしいと思いながらも
きっちり小窓の横に時刻表を貼ってしまった
家族に報告した
Ome Blueの電車は凄いぞ時間通りに出発するんだぞ
一分の狂いもなく連日出発するんだ
気になって時間を見るけど
全然遅れないからなんか腹たってきた
と言うと
またきっちり病が始まったと
ゲラゲラと笑われた
ぼくが車掌できみは運転手
小さい頃、電車ごっこでよく遊んでいた
次は運転手をやらせてくれ
だめだめ、それは無理
ぼくがずっと運転手だからと
遊んでいたものだ
キッチリしたいくせに
ちょっとズレてほしい
面倒くさい男だ、ほんに困ったもんだな
天気がいいので、近くの食堂へ麦酒を呑みに行く
カウンターにおじさんがいて
頭にハエが止まった
おじさん全然気づかない
また、頭に止まった
おじさんには悪いが
面白いので
指を指してハエが止まってるよと
店主のおばさんに言うと
笑いながらハエたたきで頭を叩いた
ハエ叩きで人の頭を叩くかね?
と、びっくりしたら
おじさん頭ポリポリで気にしない
また、止まったのでまた叩かれた
また逃げた
ちゃんと叩けよっ!とおじさんが言うと
頭が臭いからだよっ!
Omeのハエは臭いところに止まるんだよ!
と、ゲラゲラ笑われていた
さっきシャンプーしたとこだっ!
と、おじさんが言った
もう耐えられず
オレは大爆笑してしまった
昨今、日本や世界で言われている
男女平等とはこういうことだよ
と、演説してやりたいよ
どうでもいいような日々の景色を
じ〜っと見ているのが好きなのだ
頭にハエが止まっても
気にしない男はカッコいいね
夕刻は、蕎麦屋へ行き
また麦酒を飲みながら
カレー南蛮を食す
じつに美味で癖になる味だった
向かいのおばさんが
静かにカレーライスを食べていた
最近は、静かなジャズばかり聞いている
ミスター・ビルエバンス
美しい孤独死に向かって生きた男
自分が生まれた年だなぁ
Bill Evans – My Foolish Heart (1964)