吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

順調破綻と快調破綻

朝早くから
家の西側全体の果樹園が
柿の収穫を終えて
柿の木の枝切りをしていた

枝切りと言ってもチェーンソーの
爆音でぶった切るもんだから
うるさくてしょうがない
チェーンソーの音を知る人ならわかるだろうが
パチーノの映画
“スカーフェイス”のチェーンソー
あの感じ、、
何も手に付かないほどの轟音だ

母ちゃんを迎えに行くと
やっと帰れる、、
と安堵の表情だった
後部座席の母ちゃんに
長かったか?と聞くと
長すぎた、、とポツリと答える
遠くの景色を見ながら
疲れきった顔をしていたので
受け答えもしんどいだろうから
それ以上、話しかけなかった

家に着いて
風呂を沸かしたからと言うと
ありがとうと言って
しばらく横になっていた
身体がだるいときは
放っておいてほしいものだ

久しぶりに一人で
うどんを喰いに出かけた

うどんをすすりながら
横寝の母ちゃんを思いながら、、
どうやら今日も晩飯作りだな〜と
冷蔵庫の在庫を思い描いて
生姜焼きだなと
肉と生姜を買って帰る

家についてもまだ爆音で
うるさいのがオレ小屋の前でよかったと
コーヒーを淹れる
昨日は
松田優作のドキュメンタリーを見る
彼が言うには

“安全圏の中で
ぎりぎりヤバイふりができればと
うまくやってる奴がほとんどなのに
僕の場合とことんやってしまうから
安全距離を踏み出して破綻してしまう”
と、言っていた

なんだか
今の世の中みたいだなと
思いながら
カメラの手入れをする

カメラは3台
メーカー文字は全部消している
宣伝しているみたいで
文字が嫌いなのだ
車のメーカーエンブレムもうざい
Jeepの文字もうざいので
消せるか?とディーラーで聞いたら
消す人はいないし無理だと言われた
メーカー文字は、じつにうざい
服も靴下も、文字がうざい
パソコンのアップルマークがうざい
スマホのマークもうざうざい
テープでも貼ればいいけれど
貼るのも面倒くさい

こういう事を
生活の日々の中で気にしだすと
キッチリしいは
間違いなくキチガイになる

キチガイと言えば
大昔はキチガイの事を
キチガイ様とかキチガイ殿と
言っていた
これは、人間差別ではなくて
色んな人間がいる
同等に暮らしている
生活権みたいなことだろう

キチガイ様、ふらふらと家を出ていき
人様に迷惑をかけると思う家族
現代社会の老人介護も
何処へ行ったかと
家族はヒリヒリする

あ〜またかと、、
ふらふらとキチガイ様
見つけた者は
もう遅い時間だよ、一緒に帰ろうと、、

大昔は
いつも遊女が家に連れて帰ってきてくれた
と言う

下層階級の人達の心優しさが
庶民の関係性を築いていた時代
遊女とて、幼い頃に身を売られ
寂しい中で抜け出せず
人一倍苦労しているので
小さき弱者を見ると
同等に扱うのだと、、

今の社会は
人に迷惑をかけないのが良いと
思われがちだけれども
人は、迷惑をかけずに生きて
死ぬる人はいない
安全圏で暮らすのが
迷惑かけぬの
生き方かもしれぬが
それとて、生き様だろうが
面白くも無い

沢山迷惑をかけたけれども
皆様どうもありがとうと
手を振り、笑って
呆けて死んでいくほうが
人間だと思う

貴方、生き様思い出し
それは過去の事だと
消してしまいたい事も多々あるが
未だ、迷惑ばかりかけている

この先も
迷惑を、かけ続けるかもしれぬし
かけないかもしれぬわね、、

酒呑んで
忘れてしまいなさいな、
順調に破綻して
快便快調で破綻するのよ

”大丈夫、大丈夫
まだ下には
たくさんいるわよ”

ランプ明かりの下手の方で
小さな小さな声がする