おい、息子聞いてくれ
家におるだけでの、、
小煩し婆さんが、洗濯するから着衣を脱げと
ついでついでに追い回されて
喜びの家城と思うておったこの家に
長き人生、生き抜いてきたこの男
居心地の良き居場所はない
そんなものかの?
ぶつぶつぶつぶつ、、呟くのだ
今の時代に生きぬる息子よ
何をどう考えておる?
貴様、世間と闘ってくたびれたか?
戻って来いよ、おい息子
おれの話しも聞いてくれ
おい息子、、
人生はこんなものかと思うておるよ
近くのスーパーが涼しゅうてな
凍結の扇風機がよく効いておる
外は暑いがの、、
日陰のベンチを見つけたのだよ
ここは、幸福のベンチと思うとる
人は、畳二枚で生きられると言うじゃろ?
その通りじゃ、、
おまえもいつかは
こういう心持ちになるだろう
はぁ、疲れ果てた
疲れ果てたぞ人生に、、
おにぎり頬張る爺さんに
先の己の姿を映し出す
じっと観察するもよし
イトウからメール
今日はヒガコ祭りだと
人の群れを見て驚く
花火ないのか?無いと言う
住民の苦情で花火は無いと言う
それでこれだけの人混みか?
この暑さで、、
都会の人に驚いている
疲れるだろうから
早じまいして早く帰れと言うと
明日も祭りがあると言う
驚愕の景色
無理だな
くれぐれも、体調には気をつけてほしい
峡南から帰り
娘と駅前の喫茶店へ行く
二人でプリンパフェを食す
涼しくて、この夏は
ここで暮らしたいと呟く
夏休み、何処か遠くへ出かけないのか?
東京へ行かないのか?
汽車賃やろうか?
と、聞くと、、
暑いし人混みは嫌いだから
何処にも行かないと言う
そりゃそうだよな、、
と、涼んでいたら
店主の優しい爺さんが
冷水を足してくれる
”この時期は
県外の人が増えるでしょ、
車も多くなるし、飛ばすしね、、
ありがたいけど、疲れるんです”
と、おっしゃる
その気持ちはよくわかるので
云々と肯いて聞いていた
家に戻り、凍結扇風機を回し
涼みながら涼む音楽を聴いて
涼しい気分になる
束の間の黄金時代だねぇ