吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

人生水漏れの男

先月購入した洗濯機のホースに
穴が空いていて水が漏れだした
マンションの管理会社から漏水立ち会いの指示が出たので
慌てて家電のサービスセンターに電話すると
珍しく繋がった
近頃の日本企業は、アフターフォローの質が悪すぎる
売ってもほったらかしで昔の様な企業努力は皆無
もはや、営業職なんぞ要らぬのではないか?

しばらく洗濯できないので
自転車に洗濯物を積んでコインランドリーへ向かう
まるで下宿生の様な気分
この不便な環境も味わえばよろしい
と、己に言い聞かせる
洗濯を終えた20代の男がやってきて
綺麗に服を畳みながら乾燥機に入れていた
まるで女の子だなぁと眺めていた
彼には、カキタレ女も要らぬであろう
えらい時代だ

家電の修理の方から電話が来て
偶然部品が出たので今日来てくれることになった
直ればいいけれど漏水が心配だ
今年は、災難続きである
嫌いな正月に、厄除けに行こうと思う
まぁ、この男には効き目は無いだろうな
やめとこ

東京へ向かう
息子が、海風で酒を呑もうと誘ってくれた
まだ息子に捨てられていないと思うと
嬉しく感謝している次第だ
長男の花男は
益々、仕事の花飾り業の量が増え
毎日終電で家に戻って、寝るだけの毎日だ
と嘆いていた
この国の労働環境、物価高
仕事の楽しさ、豊かさ、仲間意識
狂ってるよ、この国は、、
と息子たちと話し合う

益々料理の腕前があがっているイトウちゃん
“何を食っても美味いじゃないか?
大都会甲府には、
こんなに安くて美味い手料理の店はないよ”
と話す

で、
”君らは、話し声が小さすぎる”と
イトウちゃんにお叱りを受ける
三人とも小声で話すのでうるさい店は大嫌いで
そういう場所では、疲れるから話もしない
そういうまともな親子だ

次男は、アパレルをやめて
一人でミシン3台で鞄を作りまくり
婆ちゃんの山へ行き、陶芸にハマっている
二人とも、造ることが好きで
造る仕事しかしたくないそうで
金よりも働く質を大切にしている
長男も、春には仕事を辞めるそうだ
好きに生きればいい

”オレみたいに、辞めて金がなくなるまで
石垣島で一年間住んで
毎日図書館と釣りと酒だけ呑んで生活していると
働く気がまったくなくなって
世捨て人の仙人みたいな気分になるから
気をつけたほうがいい
少し休んで早めに働いたほうがいいぞ
今のこの国は、
情も皆無、希望も無い世の中だ
思っているより社会は冷酷で厳しい”

と、話すと二人とも真剣に聞いていた
やりたいことを徹底的にやれ
君らには、可能性があるのだから
椅子に一日中座り
造らない仕事をしたく無いならしなくていい
金は追わぬほうがいい
何事にも執着しないこと
質素に暮らし、所有しないことだ
楽しく泡盛をガブガブ飲んで
金を置いて息子達に
先に帰るぞと言い残し
八王子に向かった

久しぶりに
セレヴ女史と会う
老舗の居酒屋で乾杯して
浮かれていると、、
思った以上に徹底的に叱られる
生き方、浮かれ方、考え方
全てにおいて叱られる
困ったなぁとキョロキョロすると
また叱られる

61歳児、女にはかなわない
情けない、とほほの一日
人生は、そううまくはいかない