
昨日の朝、畑の野菜を取りに出向くと
土が棘のように凍っていて驚いて野菜を収穫
風呂に入りて帰る
一切忙しくもない暇な師走
ベランダで大根と白菜を干す
部屋には、彼女もおらずの
可哀想な61歳児の師走である
午後三時
甲府駅の居酒屋で春吉と待ち合わせ
寂しく哀れな二人の忘年会
2023年3月落語家破門以来
会っておらずだからそうとうなもんだ
申し訳なさそうな登場が昔と同じで笑う
“おまえ幾つになった?25歳になりました
あいわらずのバカか?はい、変わりません”
で、過ぎた時間を取り戻した
話は尽きず
”破門になって、東京で暮らしていけず
実家に戻りましたが、さすがに居心地も悪く
働き出しました”と言う
今は、建築設計の会社に勤めているそうで
何よりで安心した
二人で日本酒をぐいぐい呑む
春吉は店員のお姉ちゃんに
”持てないくらいにちんちんに熱燗にして”と申すので
おまえ、モテない男のチンチンほど
無駄なモノはないぞと笑う
どうしようもない二人話は尽きぬ

野菜作りは楽しいですか?と真顔で聞くので
そうだな、あれが仕事なら一日で辞めるな
喰うためだけに作ってるだけだから
と、言うとほっとしたように
もしも、楽しいと言われたら
どうしようかと思いました
と、笑っていた
自分の若い頃に似ている部分があるので
他人のような気がしない
世の中を舐めきった感じとか
いつもやる気がなく
物事を斜に構える姿勢とかよく似ている
日本人の七割は必要がないという
オレの過激な話も、笑いながら頷いていた
過激に生きた方が人生は楽しい
いろんな話をして
稲荷屋へ連れて行く
春吉は、凄く気に入ったようで
店主のおじさんと話していた
25歳の同年齢と話していても
どうにも噛み合わなくて面白くなく
会社の役員や
爺さんと話している方が楽しくて
酒にも連れて行ってくれてありがたいと言うので
歳上に、可愛がられたり
好まれないような男はな?
男としての魅力がないんだよ
お前は,オレと同じクズだけど
それでいいんだ、安心しろと褒めて
乾杯乾杯で呑みまくる
春吉は、最後に山梨の白ワイン350円を頼んだ
ワインは、オレの家のと同じ湯呑みに入っていた
最後にかけそばを二個注文して
一味をどっさり入れると美味いからな
と言うて
わしゃわしゃと二人で喰った
じゃあ元気でなっ!と別れ、時計を見ると
まだ夜の八時だった
家に戻り一人焼酎で呑みなおす
師走のバカ
なぜか、エレカシの絶交の歌を思い出す
いい夜だった


