吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

いろはの生活

雨が続いている
クジラーノアキシマ東京生活も落ち着き始め
きちんと食事も作れる環境になった
しめ鯖を仕込みながら
ベランダから見やるとハクモクレンかな?
真っ白な花を咲かせ白い花が落ちていく
駐車場の横での景色の対比がよろしい

昼頃になると腹が減りだす
きざみうどんが好きでよく作る
出汁と塩酒みりんだけで美味しい
いつも思うけれど丼がない
情けないが、鍋で食している
こういう生活の景色は良くないけれど
なかなか丼を買いに行くのも
自宅から持ってくるのも面倒くさい
せっかくきちんとしておるのに
おまえはここは気にせぬか?
アホなのか?と、自問自答している

朝はNHKのラジオで目覚める
ラジオはAM
FMラジオはうるさい
2つの家にラジオ機器が5台ある
昔から優しい音のする良いラジオ機器を探している
今のラジオにはBluetoothが付いていて
無線で音楽もかけられるが
とにかく音が良くない
こないだ買った高級ホテルで使われているという
チボリの洒落た機器は音が最悪だった
音がこもるので朝の目覚ましラジオでしか使えない
物事は格好よりも中身である

SANSUIのチープなラジオは音のヌケが良い
台所に置いていつも小さな音で音楽を鳴らしている
仕事をしながら遠くで鳴っている感じが良い
いちいちボリュームスイッチが小さいので
イラッとくるけれどまぁいい

移転先の工事が始まって
次は電気機器の構図を考えている
無線は使いたくないので
新しくスピーカーを作ろうと思っている
家の三菱のダイヤートーンの音が良いので
昔の16cmのロクハンと言われる
スピーカーサイズを探しているが
全然無いので10cmで作ろうと思っている
家のロクハンスピーカーを検索してみたら
あれは、マニアの間で有名らしく
考えられない高価な値段だった
なるほどな、生きているような
いい音するもんなぁ、、と頷いていた
安いスピーカーでも木の質と
良質の壁があれば良い音になる
人間の耳に仮想音響空間を感じさせれば
何処から音が出ているのかわからないほど
素晴らしい音になる
それに近い音の出る店に作りたい
来週、山梨の材木屋へ板を探しに行こう

仕入れの帰りに雨の中
交差点に小さな子連れの親子がいた
信号はないが歩行者優先の道なので
車は停まってくれる
よちよち歩きの女の子だった
雨降りの中、真ん中あたりで
長靴が脱げてしまった
母親は、慌てて車に気を使いながら
引く手を早めに歩いていた
小さな女の子が振り返りながら
脱げた長靴に困っていた
左足が濡れてしまうぞと

慌てて走って行き
道路の真ん中で長靴を拾って
傘を持つ女の子が履ける位置に長靴を置けた

車はじっと待っていて
運転手もにこやかな表情になった
母親は気づかなかったらしく
慌てた様子でオレに謝った
ハハハと笑ったら
女の子もニコッと笑っていた

きちんと生きていると
必ず一日の天使が現れるものだ
慌てることはない
ゆっくり雨の中を歩いていきなさい
可愛い小さな美しい天使だった