吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

ビルを昇る日

所要で渋谷へ
最後に来たのは、ずいぶん昔の様で忘れた
JR山手線に乗るのは30年ぶりだ
電車の中には、所狭しとモニター画面があって
見て見て見てと宣伝動画が流れていた
もう、着いた途端に帰りたくなった
渋谷の街はビルビルビル
身体がヒルに吸い付かれていくようだった

駅前のビルへ入り、美人女性に対応して頂く
説明を聞きながら、彼女の爪のマニキュアに
なんだか細かい金の細工がなされており
どうやってくっつけているんだろう?と
気になってしょうがない
普段なら、これは?どういう爪になっているの?
と、普通に聞くけれど
大都会では
変態だと思われるかもしれないので
黙って説明を聞いていた
一時間ほどで終わり、腹も好かぬし
逃げ出したい心持ちなので駅に向かい
どうやって帰れば良いのだろうと
しばし考え込んでしまった
青梅の家に着いて寝転んで天井を眺めた
オレには、都会はもう無理だな
完全に自然環境が身体に染み付いているなぁと
ぼ〜っと茶をすする

近代人は
いったい、どんだけ作り続けるのだろう
どんだけ新しいものを欲しがるのだろう
気持ちは、どんどんアナログ思考に向かっている
何故か、頭の中で滑車が浮かんだ
紐を引っ張れば昇っていく
滑車は凄い