吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

先端・尖端症候群

かいわれ大根実験中
頭は、少しずつ禿げ散らかしてきているが
かいわれ大根は禿げ散らかさないだろう
と思っている
かいわれ君は、まだまだ大丈夫

相変わらず忙しい
引越しと店舗物件と行動力
同時に行動するのもこの歳になると
なんだか疲れてきた
若い頃は、翌日にアラスカまで飛んでいける
自信が余裕であったのに
もう無理だな、、

こないだ久しぶりの人に会った
海風を作ってくれた信頼できる大工さんと建築士
一緒に物件を見に行ってくれて嬉しかった

もう忘れていたが、、
氏が言うには
二十年前に店の改装をするときに
オレが古い骨董屋で
木製滑車を買ってきたんだと言い
大工の彼に手渡して
エレベーター代わりに
二階へ運ぶ滑車を作って欲しいと、頼んだという

ああ、、そうだそうだと思い出して大笑いした
無茶苦茶な注文だった
氏は、それから頭を抱え
酒を呑みながらも悩みに悩んで
毎日滑車の夢を見た

出来上がった滑車は
それはそれは無骨な見事なもので
あれから二十年、店の看板になっている
多くのお客さんが感動したし
滑車あげま〜っすの、皆の声は店に響き渡り
酒や料理が昇っていく姿は
豊かな景色を醸し出したのだ

大昔の日本人は
たくさんの美しいものを作り上げた
今は便利な時代だが
オレはじつにつまらない
すべての表現がくだらないし
幼稚でやりすぎなのだ

あの滑車を誇りに思っている
滑車は科学であり
昇っていく音も良い
気持ちの良い生活音なのだ

移転先が見つかったら
彼に、また滑車をお願いしようと思う
オレはしつこい
絶対にあきらめないし頭もオカシイ
氏は、もう頭を抱えこまないだろう

カタログで買えるようなモノに
生活の中の美しい景色は皆無だ
見たこともない景色を
何度でも失敗しながら作り続けよう
そういう居酒屋を愛している
今日も明日も居酒屋だ
思い描くのは、まだ早い
景色が見えだしたら
動き出そうと思っている
敵は自分なのだから、、

最近、尖端フェチである
先端は、始まりと希望かもしれないぞ、、
無印ファイル、赤い目薬、UCCミルクコーヒー
腰を落ち着けている暇はない
先端から末端に辿り着くまで
人生の新しい景色を掴み取り
走り抜けなさい