吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

南西の光

闇夜を切り裂くヒカリ
誰かの日々の心の中身をさらけ出し
醜い腹わたを切り裂くヒカリと影
180度の広がる大地に輝くヒカリ

広大な景色のヒカリや
木造アパート四畳半の古窓のカーテンから
心臓に差し込んでくるようなヒカリ
ロマンチックで本質を照らすヒカリ
信じられるのはヒカリ

薪の炎が弾けるときに
火花を散らす瞬間が好き
どれだけ少ない木で
溢れる炎を描き出すか
いつも思いながら木を焚べる
燃せば良いというものではない
何事も同じ
どんな時や瞬間でも
誰が居なくても
自分が嬉しい景色
彩る様に生きる

死んだように日々を生きるなら
魂は腐る
燃やされたほうが良い

朝8時
畳屋さんが来る
畳を剥がす
今日夕方にはできると言う
これから晴れるから
畳を干してほしいと言った
テレビなんぞ見れなくても良いから
週末に持ってきてほしいという
床を掃除して風をあてたいのだ
冬場は良いけれど
夏場は湿る
床板は埃だらけで少し湿っていた
部屋中に一日風を通して床を拭く

家は、風と人がいないと死ぬ
モノの多い家は畳が駄目になるそうだ
同じ場所にいると
畳に凹み癖がつく
色んな場所に座る歩く
全ての畳に高度差の印を付けていた
人間と同じだな

畳縁の新しいのを
持ってきてくれたので見ると
面白い模様の畳縁があった
南天の柄だと言う
庭の向こうに
南天の木を植えている
南天は”難を転ずる”と言うので
それが良いと話が合う

湯船に浸かる鉄鍋の熱燗を見ながら
ぼんやりと考えていた
昨日寝床で、ずっと頭で鳴っていた
あの昔の音楽を思い出しているが
中々、思い出せない
音はずっと鳴っている
熱燗を呑みだすと
ようやく思い出した
ニック・ドレイクのNorthern Sky
聞くと懐かしかった
ずっとこの曲が好きだった
たしか、彼が26歳で死んだとき
部屋のレコードのターンテーブルには
バッハのレコードがあったと言う
センスがいい
ニック・ドレイクのレコードを買おう