吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

いつからボブとマーレー?

一週間ぶりに山梨に帰る
家に着いてスパイス臭の顔を石鹸でガシガシ洗うと
目の前には見たこともない植物が置いてあった
なんだこれ?ふんわりと咲いておるこれらは?
台所の蛇口の前にも
なんだこれ?
つぶのかけらがなんだコレ?
ありゃりゃ~
これは、家全体的に女子部の家になっている
たまらんなぁ〜と思いながらオレは疲れ果てて爆睡

朝起きると忘れていた美味しい空気だった
小金井から青梅に帰宅すると
駅を降りた途端ホッとする
青梅でも空気は美味しい
さぁ、その標高500m上
今朝起きると圧倒的な空気の美味しさに
吸いすぎてしまって咳き込みそうだった

以前から言っているが
東京という街は必死で働く場所であって
人間が住む場所ではない
青梅までの電車の往復
いつも人間観察をしている
都会の人の顔は皆疲れ果て
その人間の本質の顔が見えない

若手からおっさんに至るまで
即座に取り出したるスマホ
そのゲーム画面に集中する
見ていて疲れる
あんた、それ仕事のほうが楽だろう?と思う

昨日は、ぼけ〜っとしているオレの横で
横の男がゲームをしながら
チラチラと俺を見るので
喧嘩でも売ってらっしゃるか?と思い
その男のゲーム画面を覗き込んで
ずっと見ててやった
その男は何かの陣地を奪い取るような
ゲームをしていた
目をそらし出したので見るのをやめた
アホかオマエは?
そんな機械は捨ててしまえ
自分の人生の本物の陣地を奪い取れ!
と言ってあげたかった

この様に
第三者の目で自分を見ない男が多すぎる
情けない話だ
こういう男は幸せの景色を
人に尽くすことができるのだろうか?

三億円あげるから
ずっと都会に住んで楽しく暮らし
最後も都会で死んでくれ
と、言われたら?
皆なんと言うだろう

オレなら
勘弁してくれ、おまえがやれ
そんで、おまえレベルの家族に金を残して死ね
と言うだろうな

三億円では自然の空気は買えない
美しい寝起きも買えない
朝五時に誰もいない場所で
風の音で目が覚める
ぼんやりと明るくなってきた景色の中
犬を連れた散歩の人が
100m先からペタンペタンと
小さな音を鳴らして歩いてくる
その音を聞きながら
近くに来たなとカーテンを開ける
おはようと声を掛ける前に
もう通り過ぎていた
ペタンペタンの足音が
パタパタと音が変わり
だんだんと無音になっていき
野鳥の声と木々のかすれる音が響きだす

冷たい地下水で顔を洗い
一日の美しい自然の
静かな360°耳の生活音を日々感じること
お金では買えない
自然の美しさが
日本の田舎のあちらこちらに
あると信じている

晴れてきたので
この季節に毎年立ち寄る
山の上の桃屋の婆さんとこに寄る

あんたとこの店も大変かい?
酷いもんだべ政治家が
居酒屋いじめだもんな
ありゃ酷いよ無茶苦茶だね?
あんた負けちゃダメだよ!
甲府の店は少しは良いべ?

あのなぁ婆ちゃん、、
オレはずっと東京で店してるからね?
もう説明するのも面倒くさいので
うんうんと頷いている
ほんと、長生きして欲しいよ
桃をたくさんくれたので
家に帰りスムージーにして食べた

店の昼カレーは
客が毎日ふたりだけ増えている
それでいいのだ
店はSNSではなく人の声で来るお客さんがいい
宣伝は嫌いだ
小さく小さく増えていけばいい
店は生き物だ
そうしないと良い店は続かない
夏はレゲエの神様
ボブ・マーレーだな
日本人はカレーを喰いながら
ボブ・マーレーのジャマイカや
キューバの歴史も知っておいたほうが良いね