吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

急がずの方向

12月
昭和の時代のような
わいわいざわざわの元気な忘年会は
何処へ行ってしまったんだろうな?
自粛自粛続きで
あの景色を忘れてしまいそうだ
物価高、ロナ、戦争、円安
首を絞められそうな景色だ

この時期になると
なんだか世の中がソワソワしだすのが鬱陶しい
今朝も仕入れに行くと
いつもは空いているのに大勢の人混み
カゴには食料満載必死顔で
あんたらどんだけ買うんだ?
明日何かが起こるのかね?
と、不思議でしょうがない
数の子美味いかね?
あんな高値のカニがそんなに美味いかね?
不思議でしょうがないだらけだ

要らないだろ?だらけ
日本人の群集心理の考え方は
とてもオレには理解できない
学校卒業して
友と卒業旅行行くかね?
一人旅でいつでも行けるだろ?
みたいなこと
正月も鬱陶しい
小さい頃から親戚に会うのが嫌いだった
お年玉を貰っても嬉しくなかったな
大人に借りを作っているようで
ペコリとお辞儀して
ありがとうなんて言いたくなかったな
大人は信用しなかった
大人は圧倒的な経験値も無いくせに
あ〜だこ〜だと
誰かに聞いたような事を云う
口先ばかりだ

早く自立して
一人で金を稼ごうと思ったもんだ
初めてのアルバイト
自分で新聞配達屋さんに行って
緊張してドキドキしながら
”何でもします働かせて下さい”
と言った時の誠実純粋の時代
自己責任自己完結の瞬間だった
オレかっこいいな世界に出たな
と幼いながら思ったもんな

早朝三時の新聞配達
大人のよりも何も話さない
兄さんたちに囲まれて
自転車配達はオレ一人だけだった
きついけれど耐えられた
自分で決めたから
自分に負けたくはなかった

だから、ず〜っと
息子にも娘にも大人の全部を信用するな
自分の頭で考えて自分で決めろ
と教えている

稼いだ金で買ったギター
どれほど愛おしく感じたか
嬉しくて四畳半をグルグル走り
世界が手に入ったと実感して
夢と希望を感じたものだ
あゝ懐かしい阿呆だ
いま戻ったら抱きしめてやるのにな

あの根性はもう無いな
老いてくると挫折と夢ともろもろだ
もう正月のおみくじも面倒くさいな
健康お守りも要らないな
自分の為にも面倒くさい
なるようになるしかならないな

今日は団地のエレベーターで
買い物帰りの足の不自由な婆さんに声をかけられた
なんだかなんでも高くて困りますね
嫌な時代が続きますねぇと
ぼんやりとおっしゃった
エレベーターを出るときに
”お先にどうぞ”と言われたけれど
開くを押して
”大丈夫です、ゆっく〜り出てくださいね”と
婆さんに声をかけてスイッチを押していると
”ありがとう”と嬉しそうに
ゆっく〜りと歩き出した
なんだか気持ちが良かったな

急ぎすぎず
ず〜っと待っている方が
心持ちも良くて気が楽だ

海を見たくなった