吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

移動地獄

荷物持ちのジャクリーヌ・イトウを引き連れて秋葉原
店の電気傘のソケットと電線を仕入れる為に
巨大電気街へ向かう
何処に何があるのかもわからず二人でウロウロ
何処を見てもさっぱりわからず
人に聞いてもそういうものはもう無いと言われ
がっくり
何が巨大電気街だとブツブツ言いながら
腹が立ったので昼酒行くぞとイトウをどついて
御徒町へ向かう
昔、仕事でこのあたりはよく来た
もう、昔の面影はなくて
洗練されたビルディングばかりだった
文化を壊す国になったなと
御徒町の鮮魚店吉池に勉強がてら見に行くが
大したことはないなと二人頷き酒場へ向かう

まぁとにかくすごい人混みだった
居酒屋も大賑わいで
ロナの跡形もない感じであった
なんだかとくに美味くもないし
雰囲気だけだなと三件はしご酒
人混みが鬱陶しいので帰ろうとなって
電車に乗って中野で途中下車
中野のブロードウェイも
ずいぶんと変わってしまったなと眺めながら
中野も、とにかく物凄い人だらけ
気持ち悪くなってきたので帰ろうと思ったが
一軒だけ人のいない店があったので入る
台湾女性の店だった
イトウと台湾女性は
テレサ・テンの生き様を熱く語っていた
オレは、ぼ〜っと酒を呑んで
素麺みたいな味の薄い炒めものを喰っていた
東京は、住む場所じゃないなと
ぼんやりと派手な外灯を眺めながら
台湾ウーロンハイを呑んでいた

あ〜田舎に帰りたい
と、しみじみ思いながらテレサ・テンの
しみじみとした音楽を聞きながら
イトウの長い話を聞いているふりをしていた
山梨の近所の爺さんから電話があり
ゴールデンの最終日だから
外で焼き肉やってるずら
一緒に酒を呑もうずら
と誘いの電話があった
東京だから行けないと伝えると
残念そうだった
ずいぶんと皆と呑んでいない

水と空気のいい場所で
アホな話をしながらの焼き肉は
じつに最高なのだ
生きる場所は、過疎の村