吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

ヒリヒリとピリピリ

毎日アキシマの上空で
米軍機が旋回して福生の基地を行き来する
ウクライナの戦争から
米軍機の離着陸の数が増え続けている
ものすごい轟音でラジオの音も聞こえなくなる
沖縄普天間の人達はこんなもんじゃないだろうが
やはりあの爆撃機のような音は怖い

なんだか世の中がピリピリしている
お客さんもピリピリしている
今、満席でテーブルを片付けますから
外でお待ち下さいと言っても
外で待つならじゃあいいですと言いなさる
なんだかピリピリだなぁと思う

混雑時には
自分が席を変わりますよ〜と
率先して動いてくれる優しいお客さんもいる
打たれたような心が救われる時もある
店を続けていると色々ある
気にしないようにしても
心が凹むこともある

最近もずくの天ぷらばかりでる
お客さん曰くSNSで店の情報が出ていて
もずくの天ぷらが美味しいと載っていた
とおっしゃっていた
なんだかなぁと思ってしまう

個人的に、もずくの天ぷらは
そんなに美味いと思わないし
沖縄もずくは、ほぼ養殖
日本海の富山あたりのもずくは
歯ごたえがあって抜群に美味い
なんだかなぁ
ネットの情報を見て
注文してくださるのだろうけれど
もうそういうのは飽きた

最近の日本人はピリピリしていて
損をしたくない人が多い
自分が少数派なのかもしれないけれど
やっぱりおすすめの黒板を見て
今日は何にしようかなぁと
考えているお客さんの日々の景色が嬉しい

おすすめの黒板を日々充実させるのは
居酒屋としては、けっこうたいへん
毎日、メニューを考え
市場で仕入れて、新鮮な料理を作る
あたりまえだけど
どんな仕事もそうだろうが
日々新規を考え
ず〜っと続けるのは大変なのだ
いい景色を作るためには
頑張らないといけないな
と思いながらも
グダグダブツブツ言いながら生きている

仕入先の魚屋に春から入社した若手がいる
4月から来ているけれども
緊張して声が小さい
今日はブリがいいですよ〜と言うけれど
声が張っていないので威勢が無い
周りに色々と指図されながら働いている
威勢が出ないのは魚屋としては困るけれども
彼は、辞めずに続いている
客が押し寄せては、彼はパニックで大忙し
客も早くしてだの遅いだの何だのと
自分ばかりで言いなさる
そういう光景をいつも見ている

こないだ
いつも忙しいのに頑張ってるね
ゆっくりでいいから鯵を頂戴
と彼に頼んだら

ええ、ゴールデン期間中は忙しいですね
と彼がニコリと笑った

最近、彼の声質が変わってきた
堂々と
今日は、鯛鯛鯛鯛がいいですよ〜っと
大きな声で叫んでいる
彼の中で、何かが変わり始めたのだろう

始めは駄目でも
一生懸命頑張っているじゃないか
みんなピリピリしないで
若手を見守ってやれと
いつも思っている

少数派の店を作ろう