吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

自分を越えたい

疲労がピークを越えた
閉店前にいろんなお客さんに言われた
一ヶ月の休みでどこか行くの?と、、

あほか?休む暇なんかあるわけがない
無い場所から造る作業をしたことがない人に
造る意味を教えても理解できないと思う
ギャランティーを払えば済む、、
と思う人に
溢れる豊かさは創り出せない
人生は一度だけ、、
生き方、広い世界を見たほうがいいよと
オレは言ってあげたい

長い付き合いの信頼できる大工
それぞれにアウトロー
彼らは昔の映画の巨匠や
舞台芸術や映画の大道具から始まり
全国を渡り歩き今がある
恐るべし技術
オレの趣味は木工
ずいぶん趣味を生かしているけれど
彼らのプロの仕事を見て
腰が抜けそうになった
畳二畳の空間で凄い仕事をする
板を脚で操り全身を使い支え
丸ノコで板を空間で真っ直ぐ切断する
驚愕の技だった
あの技術は、考えられない
道具を大切にするし
決して手を抜かない
そこには自分の誇りがある
褒め過ぎかもしれないが
まさか、檜のテーブル板を叩き切るとは
想像しなかった

勉強になる、、
狭い厨房から溢れる料理を作り出し
スピードで客に提供する事
広く、センス良く、豊かに見える
そんな場所には腰に響く創造性は無い
今は、そんな気がしている

酔っ払って、たまに軽トラで寝るという
竹を曲げてキャンバスシートの土台にして
雨が降ろうが中は濡れない仕組み
すべて手作り
朝、荷台から降りる時に知らない人にびっくりされるのが
恥ずかしいけど、と言う
全国各地リュックひとつで旅をする
生き方を超越したようだ
オレは仙人と呼んでいる
次の仕事を待たせているんだと仙人は言う

現場では、イトウが昼飯担当
いい空気がいつも流れている
明日でガスが止まるけれど
土鍋とガスコンロがある
身体はボロボロだけれども
じつに、楽しい
凄い居酒屋ができるだろう
もう、予約は取らないことにしようか?
提灯も電話もいらねぇな、、
と、話している

人間嫌いなのに、オレの財産は人
吸い寄せるように面白い人間に出会ってきた
全部オレの力だとイトウに自慢している
根がパンクだから仕方がない
誰もが喜ぶ、いい作品が出来たなら
それを潰すような事をすればいい
それが、豊かな創造性に繋がる