吐きだめ日記 Part2

海風店主 深堀貴司

羊山公園から始める

青梅から峠をいくつも越えて行く
胃が回転しそうな頃に現地に到着
土日の連休、仁淀川のイトウと
久しぶりの地獄ツアー
現地集合現地解散/地獄の喰い倒れ調査秩父編
へ行ってきた

AM11ホテル前に集合
9時に着く
いつものひとり調査開始
旅へ行くと必ず
街の全体の景色が見える場所へ行く
遠くから全体像を眺めるのだ

オレ流の旅の心得
全体の景色を見て心落ち着かせてから
まずは、その街のスーパーを廻る
各地のいろんなスーパーを見るだけで
その街の食生活、話し方
人々の生き様、生活の景色の風景が見えてくる
ネットでガイドブック?
そんな糞みたいな事はしない
自分の脚、二つの眼で感じるに限る
これは、すべて民俗学から学んだ

電車の中でも、何処にいても
静かに人間観察している
その人の生き様を想像し
何故その人の表情がそうなったかまでの
生活の風景を見るように空想する
人生の想像力を磨く練習

そうこうしているうちに仁淀川のイトウが
どどめ色の高級愛車でやって来た
今日のテーマは秩父のホルモン
何故秩父にホルモン屋が多いのか?
前から気になっていたからだ

秩父には蕎麦屋も多い
まずは蕎麦屋に出発

天ぷらも注文
こうなったら日本酒で勝負だけれど
どうもこのお店は観光客ばかりで
ゆっくり呑むような感じではないので
やめておいた
しかし、この蕎麦のコシは凄かった
蕎麦のつぶつぶの実が感じられる
見事な蕎麦であった
こりゃイトウ五杯はいけるなと満足
観光客がうっとうしいのでささっと出る
お次は

洋食食堂パリーさんへ行く
子供の頃、赤貧チルドレンだったので
洋食という言葉に弱いし
ケチャップソースが皿に垂れるように
たっぷりとかけられた
オムライスと聞いただけで
もうたまらない

小さい頃は、親と外食へ行っても
お子様ランチ食べていいよと言われても
我が家の経済力を考えてしまい
お子様ランチを注文する勇気が無かった
いつも炒飯ばかり頼んだ
その金は給食費に回してくれないか
と思いながら
大人の顔色を窺いながら生きていた

いつか、自分の金で腹いっぱい
勝利のオムライスを喰ってやると
隣席のガキを睨んでいたものだ
おまえは、親の金で喰う馬鹿だ
オレはお前みたいなすねかじりとは
生き方が違うのだと
小学生の頃から何もかもが
ひねくれて自立心の強い
可愛そうな少年だった
今思えば、可愛すぎる自分を
抱きしめてやりたい気分だ
仁淀川のイトウも同じ様な境遇だったらしい
だから心臓をえぐるようなギャグや
差別の話や魂の優しい人間の話が合うのだろう

さぁ昼からビールで乾杯だ
オレはオムライス、イトウはカツカレーで勝負した

とても美味しかったけれど
フルーツがたくさんのっていて
こりゃ女性が好きそうだから
イトウが喰えと言い
オレはそのカツカレーで勝負すると言い
オールチェンジした

次は有名なラーメン屋にいくというので
少し腹を擦りながら行ってみたら
50人ほど並んでいた
馬鹿らしいのでホテルに戻り昼寝した
夕刻、勝負に出かける
いよいよホルモン勝負だと言うので
有名な高砂ホルモンへ行った
開店と同時に店に入ると、予約してるか?
と、聞かれて予約はしていないというと
しばらく考えられて、いいよと入れてくれた
皆、予約してから行くらしい
やはり観光客ばかりだった
後で知ったが
秩父の地元人は山梨同様、ほとんど外食しないそうだ
何処へ行っても観光客ばかりだ

昔から、肉系は量を喰えない
関西育ちなのにホルモンが苦手
頼むぞイトウ!オレの分も頑張れ!と言いながら
少なめに注文すればいいじゃない?と言ったのに
仁淀川のイトウは
こらっ!男やろ!勝つ気でいけ!と言いながら
ガツ、白腸、レバー、ハツの四種類も注文した
喰ってみたがモツ系の臭い匂いは微塵もなかった
よほど新鮮なんだろうと思いながら喰っていたが
早々と、胡瓜漬けに逃げてしまった
オレを下に見ながらイトウは必死で喰っていた
さすが高知の女であった

もう腹一杯だと腹を擦りながら歩いていると
昼間並んでいたラーメン屋がスカスカになっていた
今の観光客というのは
ネットで検索してチョイスして
行列の店に並んだり予約したりして
日帰りで行き電車で帰るという
損したくない人間ばかりなのだ

イトウと二人で
旅は泊まりでいくだろ?
店屋なんぞも、入れなくても損してでもいいし
街の雰囲気を感じるために行くだろう
と、腹が立ってきて
よし!勝負しようとラーメン屋に入る

ラーメン屋では、まずは餃子と麦酒だな
と、言いながらチューハイを注文
あ〜だこ〜だ言うておりますと
麺が終わるのですが〜と店員さんが言うので
ラーメン二つ作ってねと言いながらまた呑んだ
ラーメンがやって来てびっくりするくらい
スープも細麺も、じつに美味かったが
葱と麺がぜんぜん減らない
麺の量が多すぎて情けないが
もう無理だと麺を残してしまった

イトウは現場の職人さんのように
全部平らげて勝っていた
小さいくせにあいつの腹は狂っている

また負けたけれども、秩父は素晴らしかった
帰りは霧の中
ダムを越え違う景色を感じながら山梨へ戻った
ホルモンイトウは
秩父の郷土美術館へ向かったそうだ